完成しない巻頭詩
 
遥かな存在の証 
板廊下の先に 
着信音が一回鳴った 
転がってゆく赤鉛筆 
裏木戸が鳴っている 
目を凝らすと 
そっとちかづいてくる 
隣の部屋に 
ねじれた腕 
群青の空に 
細長く横たわる 
巨大なガロアムシの幻影 
音は消失し 
青い匂いがふくらみはじめる 
無表情の眼がのぞきこむ 
増殖する細胞 
窓の闇に 
たしかに 



トップ