自由詩
氷の散弾にブルーハワイ/ただのみきや
 
欠けた陰りと曖昧さの中へ
鳴けない蝉の空中分解だ
果たせない約束の蒼白い涙だ
少年と老人の折れ曲がった時間の穴の重なりだ
巡礼者を堕落させる
山羊の腸詰でもてなしてくれるホテルの
窓が開け放たれた部屋で河風のような女が笑う
薫香のけだるい甘さもそうだ
ビードロと菓子パンだ
ケロイドとクラシックだ
戦争と平和と性欲とロックバンドだ
殺戮と溢れる羽虫の群れと日焼けした男と
青白い女のうなじとアイスクリームと神経衰弱だ
水着を着ている亡霊と
汗臭い丸刈りたちの鉄板で焼かれる恋愛遊戯だ
獣の理性と魔物の道徳だ
裸の唯物論者を屈服させる性技の試写だ
オリンピアの丘で磔にされ
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