靴擦れ/
松本 卓也
足を上げて歩けないのは
日頃の疲れからなのか
明日が見えない今日を
繰り返すしかないからか
履き潰した靴の数だけ
削れて行く生き様があって
磨耗した靴底に気が付けば
見えない針が刺さっている
気付かぬうちに硬く変貌した
角質を戯れに剥がしながら
昨日より増えた溜息の数
明日は何度零すのだろう
買い換えた靴に馴染まずに
剥がれた踵の痛みを堪える
この苦痛に慣れる頃には
僕は何を捨てているのだろう
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