空っぽの万華鏡/佐野権太
 
海に落とした万華鏡
ゆらゆら沈んでゆく

閉じ込めたはずの
いくつもの輝き
永遠と信じてた

哀しみの水圧に耐えかねた、刹那
万華鏡は音もなく弾け
また
とろり、とろり

もう、届かない
指先も 光も

やがて
空っぽの筒だけが
ただひとつ
ぽっかりと浮かんで
潮風に吹かれ
ちぎれ
波に彷徨う

   グループ"こころの、こえ。"
   Point(6)