黒の墓標 (18禁) ★/atsuchan69
 
白い柔肌にそっと触れるや否や
とつぜん狂った発条みたいな
青白い器官が左右の外耳道から飛びだして
先ずは目玉をふたつ、
声もなくポロンと落とし
詩人である若い女の頭部はみごと分解した

やがて生気をうしなった首から下は、
まるいお口のビニール人形が
むりやりダイソンクリーナーで空気を抜かれるがごとく
形而上の深遠な宇宙の闇へ向かって
世界間隔を内へ内へと崩しながら収縮をはじめた

ペラペラと個体の表皮が剥げ落ちるのと同時に、
すでに乾涸びた肉の塊りとなった砂の女は
もはや立ちつづける意志もなく脆くも粉々に砕けたが
幾許かの憎悪が、其処らじゅうに女の生きざまを散らし、
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