降り来る言葉 XXXVI/木立 悟
森の上の夜の光に
曇は高く灼けている
目を閉じても
しんと熱い
ざくりとした光のはしばし
手を振るように変わりはじめ
やがて花になり鉄になり
光と光以外をくりかえす
羽が聞こえ
聞こえなくなり
ふと道を見る
空へつづく海を見る
泥の雨が終わり
音は屋根に迷い
地に空に去り
光を残す
まぶしすぎて見えないものが
怒号のように会話している
時間と神を交換する手
泥にまみれた屋根を行き交う
そうであったり
なかったりしながら
ふかみどりは在り
すりぬけ こぼれ
手のひらが
手のひらであることを聴く
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