降り来る言葉 XXXVI/木立 悟
 


葉を透し 川を透し
小さな雨がいくつも見える
影の少ない岩陰のくぼみ
明るく不動の
負を湛える


ひらき つぼみ
ひらき すぼみ
からだは畏れ よろこんでいる
熱すぎて
飲みこむことのできない花を


ひらいた傘が
夜の道に
ひとつでもあるうちは雨がくる
何も響かず響くもの
何も到かず到くものの淵


空と海は鳥になり
羽を重ねては離れ
夜へ夜へ
飛べないものへ
はばたきと水を降らせてゆく















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