夏の骨/今唯ケンタロウ
……(くたびれた、もうほんとうにくたびれたんだ……)
男の子はなにかいいかけたけど、こんどはもう女の子がしゃべらなくなってしまった。
のこっているビスケットを女の子にあげようと思った。けど、もうとなりに女の子のすがたはなく、空は、とてもしずかで、うすぼけて見えた。
十
砂浜で、子どもたちの話し声がした。
「これは……
「……世界の……食べ残し……
「……これは、いすだよ。……これは……
「……だれもほしいと思うひとのないまま、うち捨てられた宝物だよ……
「……
「……たのしい……
「……たの
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