夏の骨/今唯ケンタロウ
ているのだった。
八
海上を、手のひらくらいの大きさの幽霊船が漂っていくのに出会った。
九
いくつのもの、きょだいな魚のかげが、はるか頭上をながれていく。
あれは死体なの?
死んでいるものなの……
女の子は気にした。
男の子はなにもいわなかった。
ただ、やがて魚のむれがゆきすぎたあと、女の子がそれを追って行ってしまうことが、男の子にはわかっていた。男の子はすこしさびしいのだった。
男の子のすいとうはからっぽで、それにもう……
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