夏の骨/今唯ケンタロウ
 
さな湾にかえってくる、漁船のいくつかのひかりが、きらめいている。そろそろ、



「帰ろうかな」



 
                    十五
 
 日が暮れる直前、港におとなたちがそっと、子どもたちに知れないようにつどう。何人かの漁師が、今日、だれかの旅がおわった、それを確認した、わたしも確認した、と口々に、あつまった人々へ告げた。
 おとなたちはしずかにうなずきあうと、いっそうの、ちいさな、手のひらくらいしかないほんとうにちいさな船を海へとながしだすのだった。
 そうするとあしばやに、めいめいのうちへ帰った。
 その夜、港町のあちこちで、やさしい歌がひびい
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