夏の骨/今唯ケンタロウ
十四
港町を一望する夕やけの丘に、ひとりぽっちの女の子がすわりこんで、とおくの海をながめていた。
いくつか、のこりかすみたいな雲が、海と夕やけのとけあうとこへとながれていくのを、みつめている。
一昨日、海のむこうの国へいってしまった男の子のことを、女の子は思い、ビスケットをひとくちかじってみた。
「また会えるかも……しれない……
女の子は、丘の下に広がる情景に目を向けた。
そっと夜にくるまれていく時刻、港町は、赤やピンク、みどりや白の灯かりをともしだし、方々で人たちのざわめきが、ベルや車の音が、うすくひびいている。ちいさな
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