梅のおにぎり/千波 一也
 
していることに
自信が持てないから、
はっきり見える
あなたの姿を
見ていたんだよ
角を
曲がってからは
ものすごく寂しくなったけど
それはたぶん
あなたも同じことだったよね

街は
遠いけれど
遠いことよりも
大きな峠があって
冬はもちろんのこと
夏でも危険な峠があって
峠の手前で
ちょうど
お腹が空いたから
パーキングに停まったんだ
長距離トラックが混み合う
広い広いパーキングの
片隅に
停まったんだ

ねえ、母さん
おにぎりは
いつもどおり
大きかったね、あの日も
ハンドルを
ぎゅっと握りしめてばかりで
外の景色を眺めもしないで
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