東京タワー/千波 一也
ビルの
赤い点滅が
いつまでも続いていて
いくつでも、
続いて
いて
それはまるで
飽くことのない
異国の海のようだった
東京タワーから
眺める夜は
リアルな
嘘、
だけど
リアルは
嘘の隙間で積み重なって
いつのまにか
眩しい
ガラス越しの冬は
覚えたてのカクテルみたいで
高層階は
寡黙なさかなの
水槽と似て
いた
遠く、
七色の橋が見えたとき
きみとぼくとは
手を取って
しずかな呼吸で
寄り添った
星屑みたいに
願いの数
だけ
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