ペイター「ルネサンス」 (4)/藤原 実
 
かっているから、詩なんだ、という説明がいちばん正確なのではないか、と思っています。
 谷川さんの詩では、もうこれ以上、書くべきことはない、という感じがします。また、藤井さんの詩でも、これでもう十分だ、十分相手に(読者に)届いた、という感じがする。それぞれの詩、そのことばの内容と、形が、ぴったり一致している、という感じがするのです。それは、おそらく、この二つが、ほんとうは「うた」だから、ではないでしょうか。
 うたわれるうたを聞いている時、人は、その一つ、一つの、ことばを聞いているのではありません。そこに響くものを聞いているのです。それは、向こうから、強く、まっすぐ、やって来て、わたしたちを貫き
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