月光/千波 一也
 


きのうを飾る
わたしの言葉の裏がわで

だれかの爪が
あしたを研ぎます


 輝こうとする意思は
 ばらばらに統一された
 石として

 きらきら、と
 眠るのです



しまい忘れた
鏡の奥で

炎と土とを
みごもる水は
しずかに毒を清めつつ、

みな
頑なに
壊してゆきます



 慣例という免疫は
 ほろびの音色、

 おそろしく
 美しく

 そそぎます



ふたたび、

ふたたびの上澄みに
取り残されて

夜は
さびしく
溢れてゆきます

ただ、夜を









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