小詩集【にゃお。】/千波 一也
 
ぽつり、としずくが
  寄り添う
  日なた





五 捨てられた靴



  使い古した姿については
  ぼろぼろだね、と
  同意をしよう

  けれど
  わたしたちが
  聞き取れる言葉は
  そこまでだ


  知らされていないほんとうを
  伝えるすべもなく
  ひた走るような
  沈黙を

  ときどき見かける
  埃まみれに


  飼い猫まがいの手足なら
  なにをきれいに
  傷つける

  捨てられた
  そう遠くはない行き先を
  つとめてしずかに
  履きながら
  ふるえる

  風の
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