小詩集【くじらヶ丘にラベンダーの雨】/千波 一也
 

 あらゆる書物をほどいてみても
 はかないものの名前など
 一覧になってはいない

 いつ注ぐとも知れぬ雨に
 あらがうすべは傘

 太陽が味方であると信じれば
 群れなす手のひらには
 隙だけがただ明るい



 いろと香りがラベンダー

 誇り高いうるおいのなか
 まったく同等に誇り高い
 かわきの雨が
 透けてゆく


 風はきっとなにも知らない

 より分けず
 見破らず
 すべてを流す波となる

 きょうと
 あしたと
 その先に待つきのうへと





三、風のおわりに


 どんな無意味さが
 待ち受け
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