小詩集【水没ハーモニー】/千波 一也
ることで
鳥は空から落下してしまうように
速度こそ異なれど
確実に
水は
とても自然な流れのなかで地図から消えた場所がある
或いは
みずから隠れたのだろうか
群れをなすものたちに
たどり着くための手足は既に無く
夢をおぼえたものたちに
みとめうるための瞳は既に無く
水たちの本能だけに護られて
みなもとの名は
もっともうつくしい廃墟のなかに溢れている
没してゆくさなかには
なにものの介入も許されない
終わりゆくならば純粋に
始
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