小詩集【招かれざる客をあばく夕べの招待状】/千波 一也
 
めだけに
祝杯は
絶え止まない

拍手喝采のなかで
時計はいつも過去を進む

誰のための客人であり
誰のための主人であるのか

知らないままで
済まされてゆくことから
順番に
知りうるさなかで
失い続けるならわし

まぼろしにも真偽はある

あばきながら
あばかれながら
存在はせわしなく
不在を往くのだろう



四、架空

衰退という言葉を覚えてからは
賑わいと
寂しさとを
天秤にかけている

贅沢イコール幸福
その算式は
完全には正しくないけれど
完全なる誤りでもないだろう

拡散にはきびしさを
縮小にはいつくしみを
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