小詩集【招かれざる客をあばく夕べの招待状】/千波 一也
めだけに
祝杯は
絶え止まない
拍手喝采のなかで
時計はいつも過去を進む
誰のための客人であり
誰のための主人であるのか
知らないままで
済まされてゆくことから
順番に
知りうるさなかで
失い続けるならわし
まぼろしにも真偽はある
あばきながら
あばかれながら
存在はせわしなく
不在を往くのだろう
四、架空
衰退という言葉を覚えてからは
賑わいと
寂しさとを
天秤にかけている
贅沢イコール幸福
その算式は
完全には正しくないけれど
完全なる誤りでもないだろう
拡散にはきびしさを
縮小にはいつくしみを
[次のページ]
前 次 グループ"【こころみ詩集】"
編 削 Point(15)