小詩集【招かれざる客をあばく夕べの招待状】/千波 一也
よがないけれど
それこそが
一部を忘れたものたちの
一途なおごり
なのかも知れない
時を守るすべは
満ちていても
だれもが
孤独に
満たされてゆく
動いているのに
動いていない
森が
森の名が
いつしか互いを遠ざけた
手招くかたちを
留めたまま
三、失踪
呼び鈴が鳴り続けている
きのうから
きのうまで
呼び鈴は
鳴り続けてゆく
永遠に
永遠を崩さなければ
永遠は微笑まない
それだから
呼び鈴は
なおも
不在を確かめる
管弦のなかで
円舞のなかで
きょうではなく
あしたでもなく
ただ
きのうのためだ
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