小詩集【招かれざる客をあばく夕べの招待状】/千波 一也
おのれに
ちいさな足もとには
少しの土があればいいのに
のぞみはいつも
縛りつけられたまま
気付かずに堕ちてゆく
此処がそれ
あこがれの対極
二、化石の森
愚問は
ついに完成されぬまま
その
かなしみはいつしか
見ようによっては
魅惑となり
密やかな
きょうの日の加減が
夕陽のなかで
華々しく沈黙をする
断言も
断言せぬことも
それぞれに
おそろしく適度に
未遂をたたえる
昔々
ものごとは
簡潔だっただろう
名前や音や学びや契りや
広く深く難しく
ものごとは
簡潔だっただろう
石は
風にそよが
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