小詩集【ルナ区の片隅で少年少女は】/千波 一也
 
見守っている

雑踏のすぐそばで
ベンチはいつも
冷たいままだ
言い訳ばかりの僕は
そこに凍えてしまうから
いっそ雨に降られたい

繊細であることは
薄弱であること
想いの分だけ
雑踏は遠ざかる
誰ひとり見向きもしない
僕は知っている

一から十へ
十から百へ
百から千へ
ゆびが疲れたら
みんな消えてしまう

僕は
どこまで抱いてゆけるだろう
由緒の正しい
はかなさを



五、鉄条網

こちらから
突破をしようと
傷を負ったとしても
それは
無理矢理な
自分自身なのだから
痛みなど耐えられるし
そもそもそれは
痛みなど
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