小詩集【ルナ区の片隅で少年少女は】/千波 一也
 

春はおそろしい

あなたの片隅に
ふゆはある
日々を
こまやかにゆけば
なお
しろは
目立たない

とめどなく
寒いゆめはないか
何気なく
ふるえる隙間はないか

巣のあるものはつよい
ふゆは必ずかえる

巣を持つものはつよい



四、純度

僕は
僕としてしか
生きられないうえに
僕をつなぐことで
精一杯なんだ

ここは賑やかな街だから
誰かが代わりに
笑ってくれる
誰かが代わりに
走ってくれる
だけどほんとは
ここは寂しい街だから
僕は
雲を見上げている
変わってゆくけど
変わらない
そういうものを
見守
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