小詩集【ちいさなてのひら】/千波 一也
いつも
ひとつの
てのひらになる
なにかにふれることを
てのひらとよぶ
ちいさなてのひらを
どこまでさがしてゆけますか
たどりつけなくてもいい
てのひらをもつ
じぶんがいつでも
はじめのいちまいでありますように
三、告白
ひとつの想いが報われた日に
この手は
またすこし
小さくなった
それは
悲しみではなくて
ひとの非力さが
尚いとおしく感じられた、と
そういうこと
涙がなければ笑顔はない
約束がなければ
傷はない
たとえば誰かが
たやすく語ることの総てを
もう一度はじめから
確かめたいと思った
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