小詩集【シンメトリー・パンドラ】/千波 一也
 

虹色に

音階はわかりません
でも
それは
いつか憶えた
果実と似ています


ひかりの器には砂漠を

おだやかな午後の
頬杖が
かなしみに怯えない
かなしみであるように
つばさの先にはうたがいを


ほら、ラフレシア
ツンドラの月を
迎えましょう
そのままで
そのままをすりぬけて

もて余すものは髪に乗せて
足りないものなら
つめの隅々まで言づけて

送りましょう
おおきなふねを
地球儀まで

贈りましょう
ワインのコルクを
雪降るそらへ


時刻にも時刻がつきもの
どうぞお忘れなく
確かめ合うための
ちぎりの
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