一、やわらかいものたち
みなもの月が
やわらかそうで
みんなたのしく眺めていたね
そして
だれかが
つかまえようとして
バシャリと濡れてしまっていたね
それを
だれかはよろこんで
違うだれかはともしびにして
なまえを呼んだり
うたってみたり
あの日の
みなもに生まれた波は
すべてをつないで揺れていた
みんなたのしく濡れていた
届かぬものに
背を向けたとき
そこにはじめてほんとが咲くよ
おわりを数える時計がすすむよ
さよならの指紋とあきらめの関節
たとえばそれが
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