少年と鳩/恋月 ぴの
 
無く醜かった
初冬の寒空に鳩は羽ばたいていた
彼は今頃どうしているのだろうかと
ふと考えてみたりする
それは余計なお世話と言うものだろう
私が私なりの人生を生きてきたように
彼もまた彼なりの人生を生きているに違いない
いつものように孤独の屋根によじ登り
鳩の帰りでも待っているに違いない
生けしもの総て忌み嫌われるこの町の空を
意に介そうともせずに鳩は飛んでいる
相も変わらず彼はどもっている



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