リストカット/花形新次
夜明け前のキッチンで
あなたのカップはまだ濡れたまま
指先でなぞると
冷たいものばかりが残っている
泣き声を隠すのは
そんなに難しくなかった
ただ 袖の下を見せないように
笑えばよかった
あなたがくれた言葉は
まるで刃物みたいだった
綺麗な響きほど 深く切れると
誰も教えてくれなかった
血の匂いを覚えてる
そのとき私は生きていた
証拠を残すように
腕を赤い線で飾った
ねぇ どうして
痛みのない日を 神様はくれないの
ねぇ どうして
愛してほしいと 願うのをやめられないの
明日になれば 街はまた
当たり前のように朝を迎える
私は長袖を着て
誰も知らない傷を隠す
リストカット――
それは誰にも届かない歌
だけど今夜 私の中で
あなたを愛した証になって
まだ ひっそりと 光っている
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