読むことのスリル──ひだかたけし小論(5)/朧月夜
 
ひだかたけし氏の良い作品──を見つけるためには、それなりの苦労を払うべきなのです。
 わたしがひだかたけし氏の詩に出会ったのは、2019年のことです。その時点で、氏はすでに自身の手法というものを確立していました。それは見事に独創的であり、「こんなやり方があったのか?」と思わせるものでした。詩とは一般的に言って(草野心平などの例外はありますが)、文字だけで表される芸術です。英語であれば、アルファベットの26文字、日本語であれば46文字。そこに記号が加わります。
 余談ですが、英国の作家であるヴァージニア・ウルフは、この記号にこだわった作家で、「;」(セミコロン)の意義というものを、仔細に示してみ
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