読むことのスリル──ひだかたけし小論(5)/朧月夜
新たな問いであり、議論の発端ではありません。わたしは、答えからこの小論を書き始めたのです。この章の副題には、「詩の価値とは?」と書きましたが、それは詩という芸術一般に関する問いかけでもあり、この詩人の著作に対して直接「それは何か?」と問うことでもあります。
批評とは、もちろん題材を選ぶことから始まります。しかし、現時点でも千篇以上あるひだかたけし氏の詩群を一から読み直す、ということは大変な苦労が伴います。わたし自身が、いくつかの詩を選定し、「他薦詩集」を編纂すれば、読者の労をいくぶんかは省くことが出来るでしょう。しかし、そのことは読者の自由を奪うことにもつながります。詩の価値──すなわち、ひだ
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