読むことのスリル──ひだかたけし小論(9)/朧月夜
けしという詩人が、日本の詩史に名を連ねるのも、そう遠い未来のことではないでしょう。わたしたちは、せいぜい五十年程度待てば良いのです。もっとも、このことは詩人が「詩を書き続ける」という態度を捨てないという前提においてですが。わたしは、ある一人の詩人を褒め過ぎる、ということも、貶し過ぎる、ということも望んではいません。すべてにおいてフラットでありたい、というのがわたしの姿勢です。そして、それが詩の世界からわたしを排除するものでもあるでしょう……。詩という芸術は極めて個人的なものであり、その個人という存在への没入によって、初めて対象化されるものです。そこに例外はないと言えます。詩が評価されるのも、評価さ
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