読むことのスリル──ひだかたけし小論(9)/朧月夜
 
音」「灰色の作業服」「灰色の漆喰壁」──そこに表されているものは、無機的な物に対する恐怖であり、それらへの対処法を、作者は「丁寧」に叙述してみせます。
 実は、こうしたことは注釈・解題を離れてこそ伝えられることでもあるのです。わたしは、第一章から第七章までをそのまま省いても良かったのです。「この詩を読め!」と、リンクさえ張れば。……ですが、そんな横暴に読者は納得しないでしょう。ひとつの詩を伝えるために、それ以上の言葉が必要とされる、そのことは皮肉です。ですが、その皮肉にわたしは殉じる者です。RPG(ロールプレイング・ゲーム)を楽しむように、わたしはその謎解きに奔走したいのです。
 ひだかたけし
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