祭祀クーラスとエインスベル(八)/朧月夜
 
エインスベルはまず、トライ・ガイエスの呪文を使って、
衛兵たちの動きを封じた。
その瞬間、エインスベルが懐に持っていた虹の魔法石が、
どくんと脈動する。エインスベルははっとした。

しかし、そのことに今は動じてはいられない。
リグナロスと連携して、クーラスの衛兵たちを倒していく。
祭祀クーラス自身は、トライ・ガイエスの呪文にはかからなかった。
大方、範囲魔法を防ぐ魔法の指輪でも所持しているのだろう。

(なるほど、今まで祭祀クーラスを暗殺しようと考えた者たちが、
 失敗したはずだ。祭祀クーラスとは一対一で戦わなければならない……)
エインスベルは、錯綜する状況のなかで、素早く考えを巡らせた。

「リグナロスよ、まずは転移魔法でお前を安全なところへと移動させる」
「それでは、エインスベル様は?」剣と剣とを交えながら、リグナロスが問う。
「心配ない。わたしも後から脱出する!」
   グループ"クールラントの詩"
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