アジェスの森の戦い(十一)/朧月夜
アジェスの森での戦いが始まってから、一週間が経った。
今、残っている兵士たちの数は、アースランテ軍が五万九千人。
ラゴス・クールラント連合軍が四万五千人だった。
「これでは消耗戦にしかならない」ラジーク・ユーゲルは言う。
「本当にそうですな。ラゴスもアースランテも、
共倒れを願っているとしか思えません。
そうすれば、南のファシブルも座視してはいないでしょう。
ライランテがアルスガルデの二の舞になることは避けたいものです」
「そうだ。魔導が主導する国、というのは腐敗しやすい。
なんでも、魔法で思い通りになってしまうからだ。
だから、各々がそれぞれの営利に走る。欲の暴走だ……」
「アースランテはそのことを分かっているのでしょうか?」
「分からない。ただ、ラゴスの国を倒したいという怨念だけは感じる」
「怨念ですか。老いたるわたしには、よく分からない言葉ですな」
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