アジェスの森の戦い(十二)/朧月夜
 
アイソニアの騎士も、エインスベルも、
アジェスの森の戦いでは、脇役の一人にすぎなかった。
主役は正魔導士たちと、前線にいる兵士たちだった。
それにしても、この戦いは激しい。

エインスベルは主に闇の結界を張った。
それは、黒色槍兵団の団員たちが、
闇の精霊の加護を受けていたからである。
「助かる、エインスベルよ」かつての敵は言った。

一方のアイソニアの騎士は、一日で三十余名の兵士たちを、
屠っていった。そして、自身の体には傷ひとつつかない。
「これが、アイソニアの騎士の戦い方なのか?」

アースランテの兵たちは、まず味方であるアイソニアの騎士を恐れた。
「もし、アイソニアの騎士がクールラントに留まっていれば……」
そう。もちろん、そうなればアースランテの全滅は必至だった。
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