連合軍の反撃(十)/朧月夜
しかし、その使いは少々遅すぎたと言って良いだろう。
シュティンガルトは、エリス・ガザンデの御前に来て言った。
「敵本隊は、ヒスフェル聖国の軍団とともに、ナハテ・ガルの砦を
出陣した模様です。それと、南方へ向かった偵察隊によりますと、
アジェスの森に約一万五千の民兵が集結しているということです」
「これはしたり。我が軍は敵陣の深くに入り込みすぎたか。
ラゴス軍のネットワークを、わたしは甘くみていたようだ」
エリスは歯噛みする。(これでは挟み撃ちにされかねないではないか)
「ここは……前に進むしかない。敵の中央突破を図るのだ。
その後に転進。我々はラゴス南部まで撤退する」
それが、エリス・ガザンデの発した命令だった。
「シュティンガルト・デイよ、わたしの副官を務めてほしい。
そなたには、優れた戦術眼と、そして行動力がある」
「もったいないお言葉です。この度の戦い、必ず勝利に結びつけましょう」
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