連合軍の反撃(十一)/朧月夜
「ルブルス河の南岸には一万の兵を残せ。しかし、
自ら砦を出てくるとは。敵には勝算があるということか?」
エリス・ガザンデは舌打ちしながら言う。
それに対して、シュティンガルトは淡々と告げる。
「エリス様。ヒスフェル聖国よりの援軍は、五千ほどの模様です」
「しかし、五千でもヒスフェル聖国を甘く見てはいけないのだ。
彼らは魔導部隊だと言って良い。魔導士の全員が魔法石を所持している。
ここらの魔法素子が薄くならないうちに、活路を見出さなくては……」
ルブルス河の南岸には、ロッハ・ルイの部隊が残った。
残りの全軍がいかだの橋を渡り終えると、エリスは北進の指示を出した。
「ラゴスめ、伊達に海外領土を持っているわけではないのだな」
そして、前方に敵兵の姿が見えた。連合軍である。
敵はすぐに多重結界を敷いた。しかし、アースランテの魔導士たちも優秀だった。
全ての兵士たちに、全精霊の加護を付与していく。
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