ヨランの挑戦(十)/朧月夜
「あなたがたはどこへ行くのですか?」と、その女は言った。
それは、女であったろう。少なくとも、三人の旅人はそう思った。
「これはこれは、ご丁寧に。あなた様がこの世界の案内役ですか?」
盗賊ヨランが、二人に先立って口を開いた。
「わたくしは、オーマル・リケイディア。この世界に生きている、ただ一人の人間です」
「人間? 汝は人間なのか?」アイソニアの騎士が驚いた口ぶりで尋ねる。
彼は、幽冥界に人間が住んでいるなどとは、思いもしていなかった。
幽冥界とは、恐ろしい魔物が闊歩している異界だと、考えていたのである。それがどうか……
「わたくしは、この世界に招かれた人々を、案内する役割
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