ヨランの挑戦(十五)/朧月夜
元々、ヨラン・フィデリコは、エインスベルの従卒のなかでは、
可とも不可とも言えないような、微妙な立ち位置に立っていた。
その集団の中の絶対王者は、アイソニアの騎士だったのである。
しかし、当のアイソニアの騎士自身は、今では、エインスベルの従卒ではなかった。
アースランテという一国の聖騎士、そして千人隊長である。
ヨランは、目をきょろきょろさせながら、この瞬間に千の思考を巡らせる。
(わたしが行くべきなのは、どの道なのですか? エインスベル様?)と。
その様子を、興味深げに見守っていたのが、当の相手であるオーマルである。
「汝は、迷う者か? 迷う者には、答えは訪れまい。早々に
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