薄明の中で(二)/朧月夜
 
「ああ、フフリナ。まだ起きていたのか? 明日も朝が早い。
 お前もしっかりと休息をとっておくことだ。何しろ……
 わたしも、いつこの首を切り落とされるかも知れないからな」
「恐ろしいことをおっしゃいますな、あなた」と、フフリナ。

「いや。国を治めるということは、その命を国のために捧げる、
 ということなのだ。フフリナ、わたしは今、一つ問題に追われている。
 そこから逃げだすことが叶うのなら、わたしは逃げだすだろう」
クーラスは、ため息とともにそんなことを呟いた。

「あなたを悩ませている問題とは、カーガリンデの魔女のことですか?」
「そうだ、フフリナ。よく知っていたな? エインスベルは近いうちに処刑される。
 しかし、それが本当にうまくいくのか、わたしには自信がない……」

「あなたらしくもございません。あなたはこの国の祭祀長。そして、
 今では最高統制官の地位をも手に入れているのですよ?
 あなたの自由を阻む者など、今となってはいないでしょうに」

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