薄明の中で(三)/朧月夜
「ただの女が、いつから政治に口を出すようになった?
お前は、フランキス・ユーランディアと話でもしたのか?」
「フランキス様がこの頃、このお屋敷にしばしばいらっしゃっていることは、
存じております。わたしの拙い話を、続けても良いでしょうか?」
「良い。しかし、手短に話せ。お前は今の情勢について、何を知っている?」
「何も」そう否定してから、フフリナは会話を続ける。
「ですが、エインスベルやアイソニアの騎士があなたを悩ませていることは、
存じております。彼らは、あなたやフランキス様の敵であるのだと」
「単なる敵であれば良い。しかし、真の敵とはつねに身の内にあるものだ、フフリナ」
「そして味方も、でございます。あなたは、戦士エイソスをどう思っておいでですか?」
「奴は、わたしの手駒だ。駒とは、使える時に使えればそれで良い」
「そのエイソス様を、アイソニアの騎士とエインスベルの暗殺に差し向けるのです」
「何と言った? 暗殺など、聖騎士にはふさわしくない汚れ仕事だ。
今、エイソスをそんな影仕事に回すわけにはいかない! ……だが、待て?」
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