薄明の中で(八)/朧月夜
「では、あなたの手でそれを確実なものとすれば良いのです」と、フランキス。
「いや。すでに遅すぎる。お前はこの国、クールラントの未来をどう思っている?」
「それは、ライランテの覇者となることです。この国を治め、大陸を治め、
そして世界の統率者となるのです。この国より秀でた国など、この世界にはありません」
「それは傲慢だな。わたしはそれほど愚か者ではない。
世界を統べるには、神にも等しい意匠が必要となるのだ」クーラスは言った。
「意匠……それは信仰のようなものですか?」
「そう言っても良い。要は、民に心のパンを与えるということだ」
「心のパン……。いささか難しい問題ですね。
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