薄明の中で(十二)/朧月夜
 
「その言葉を聞いて、安心した。わたしは孤独だからな……」
祭祀クーラスのその言葉は、いつにもなく自信なさげに思えた。
というのも、フランキスには、クーラスの言葉がいつも以上に重々しく感じられ、
そこには、「一刻の猶予もない」という、為政者の思いが現れていたからだ。

「わたしは、正義を信じております。あなたが正義の側に立っているということも」
フランキスは、クーラスに直に使える者として、忌憚のない言葉を発した。
「正義か……。国を正義によって導いていくことは、出来ないのだよ」
「分かっております。国の未来において、個人の思いが関係ないとは……」

「お前の言葉では、まだ足りぬ。
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