フランキスの戸惑い(二)/朧月夜
フランキスを戸惑わせている事柄がもう一つあった。
それは、ライランテ大陸の東方にあるヤーコンの諸国家群の意向である。
彼らは、アースランテと足並みをそろえようとしていた。
そうして望むものは、もちろんライランテ大陸の覇権である。
クールラントやラゴスといった、旧態依然とした国家に、
カウンターを与える、というのが彼らの意向だった。
正義というのは、場合に応じて、立場に応じて変わるものである。
彼らにとって、アースランテは旧弊な淀みを断つ救いの国であった。
「奴らはこの世の理を分かっていない」フランキスはうそぶいた。
「なぜなら、国家とは生き物のようなものであるからだ。
伸長すれば拡大する、そんな簡単なものではない……」
(クーラス様)この期に及んで、フランキスの心は祭祀クーラスを頼っていた。
(武人として立った俺が、ドルイドごときに心を傾けるとは……)
そんな逡巡も、今フランキスの胸を彩っていた。
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