エインスベルの反逆(五)/朧月夜
「戦士エイソス、協力してほしいことがあるのだ」エインスベルが言った。
「貴女が腰を低くすることは珍しいことですね。
何か、企図があるのですか?」と、エイソス。
「そうだ。祭祀クーラスを亡き者にしてほしい」
その言葉は、あまりにも直接的だった。エイソスもあっけにとられる。
「フランキスは、すでにクーラスの側についただろう。
イリアスの所在も明らかになってはいない。彼らは、
クールラントにも仇なす計略を考えているに違いないのだ」
「それを断じるのは早計でしょう? 祭祀クーラスは、
曲りなりにもこの国のことを考えているはずでしょう」と、エイソス。
「前王を殺害していてもか?」エインスベルは厳しい目で言った。
「そうなのですか? それでは、ジギリス・ア・アルヌーはクーラスの傀儡だと?」
「そうだと思っている。このままでは、祭祀クーラスがこの国の実権をつかみかねない」
「そんなことが? わたしは信じられません」エイソスは逡巡しながら、言った。
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