エインスベルの反逆(六)/朧月夜
「わたしは、イリアスが……いや、
アイソニアの騎士が、幸福な未来を手に入れてほしいと思っている」
「わたしの妻、クシュリーは貴女に救われたが……
アイソニアの騎士の事情は異なりましょう。彼は、」
「分かっている。アイソニアの騎士は、今は敵国の人間だ。
しかし、それは永遠に続くことだろうか。このライランテ大陸は、
元は一つの国家だったのだ。しかし、言語崩壊を経て、
これら諸国は再び別々の道を行こうとしている。それが、幸福なのか……
わたしは、国家自身が納得の道を行くことを願っている」
「戦い、和平、慈愛、自由。それらが、国家の行くべき道なのではないだろうか?」
「わたしと汝の考えは、いくぶん違う道を行くようだな……」
「そうとは限りませんよ。わたしは、貴女エインスベルに共感しています。
もしも、貴女とわたしの考えが合一するのであれば、わたしは貴女に従いましょう」
しかし、エインスベルは言った。「それは難しい。汝はわたしに従うべきではないだろう」
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