ファイブ・ペニーズ/ハァモニィベル
*
ファイブ・ペニーズ
ベンチ
耳を澄ましていた ただ耳を そっと
じっと 動かずに
夜更けの三時に誰かが夕食をたべるときも
そっと ただ
噴水の音だけを聴いていた。
埋めたい距離を隔てた
目の前にある
《こちら》に
彼女が時折激しく語りかけるから。
リエゾン
恐ろしく近い場所で
離れ離れの者たちが屋根の下に集う
悲しいほど遠いところへ
心を通わせる僕と君はひとり
何かを繋ごうとする朝のほとりで
オレンジの道
甘橙(オレンジ)売りの手押し車が一台
山のようなアマダイダイを積んで通ってゆく
これからもっと暑
[次のページ]
前 次 グループ"お題バトル/勉強会等 課題投稿作品集"
編 削 Point(2)