さくらんぼ泥棒/りゅうのあくび
あった
きっと来年の冬
チョコレートの季節になれば
どちらからでも
素敵な贈り物を
上げることが出来るよと
その友達はとても親切に
教えてくれた
随分と昔に
母には先立たれてしまい
父と一人娘が
別の病気になり
それっきり
ふたりきりの家族が
離れて暮らすのも初めてだった
独りになってしまった父を
何とか救ってほしい
一途な想いがあった
記憶の病である父に
一人しかいない娘のことを
忘れて欲しくはなかった
手紙が届いても返事が来ない
とても心配だった
病院で郵便を管理している
年下の青年に
あるお願いをした
自宅に届く
郵便物にする予定
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