沈黙する夜の始まりには/りゅうのあくび
巡り合った
ばかりで恋する人に逢う
約束をしたけれど
それから
まだ逢えてはいない
恋する人からは
祈りをもらって
そんな小さな
祈りの中に
まもなく
沈黙する
夜は始まる
ゆったりとした
記憶のなかで
恋の旋律は
すでに同じ音階で
弾くことすらできずに
いくらリズムを探しても
恋する人の声もなくて
沈黙する
夜は訪れる
誰にも
行き当たることの
できない
未来へと
回転するはずの
歯車はもう
廻らない
壊れかけた
古いオルゴール箱のなかで
背筋がすらりと
のびそうな
ソプラノの
メタル音がした
気がする
とて
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