Miz 8/深水遊脚
 
驚きの演技もやや散漫になってきた頃、急に照明が暗くなり、注文したストロングブレンドが来た。隣にはカフェロワイヤルスプーンとブランデーの小瓶。モカの深煎りを頼んだ彼にも同じセットがあった。マスターが手際よくスプーンに角砂糖を乗せてブランデーをかけ、柄の長いライターで火を点けた。私の分を点火したとき、マスターが目で話しかけた。

(テンションのあげ具合はどうされますか?)

(並盛で。)

目で即答した。辛うじて溜め息を噛み殺して、ムードに酔う演技で目を細めて炎に集中した。グルだったな!心のなかで軽くマスターに毒づいた。彼に促されてスプーンを裏返して、目を少し開いて彼を見て、ありがとうと軽
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